人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミャンマー人の嫁を探して

bonoxylove.exblog.jp
ブログトップ
2016年 03月 06日

(12)女性の「社会」進出に関する二つのイデオロギー① 専業主夫社会



ここまでのまとめ図です。女性の「社会」進出から派生する現象だけを取り扱っているため、教育費と雇用状態の論点は省いています。

まず黒線の内容から説明すると、女性の「社会」進出が進むと、家事・育児・介護を男性か福祉サービス業者のいずれが担うにせよ、男性の収入が減少し、これがさらに女性の「社会」進出を促し、さらに男性の収入が減少し……という悪循環に陥り、男女で仕事と家事・育児・介護を半々に分担した場合は、比較優位の原則に反することにより経済が悪化します。そして女性の晩婚化、未婚化が進むことにより出生率が低下し、少子化が進行し、高収入の男女、中収入の男女、低収入の男女が結婚することにより格差が拡大し、低収入の男女の中に結婚できない者が出ることによりさらに出生率が低下して少子化が進行し、この格差の拡大と少子化の進行がさらに経済を悪化させ、その結果、企業の利益率が低下し、その女性比率も低下します。

つまり皮肉にも、女性の「社会」進出が進むと、女性の「社会」進出が後退するというわけです(赤線)。

あくまでも女性の「社会」進出を維持した上で、少子化を含むこの悪循環から抜け出すためには、経済を改善させなければなりません。そしてここで採れる方法は二つ、一つは男性を専業主夫にすること(男性の家事分担の究極の形といってもいいです)、もう一つは、図では保育サービスに代表させていますが、家事・育児・介護といった福祉サービスを充実させることです(青線)。いずれも女性の「社会」進出を促すなどの副作用(点線)を伴いますが、それ以上に経済を改善させることができれば、女性の「社会」進出と良好な経済状態は両立できるでしょう。



そこでまず専業主夫社会についてですが、男性を専業主夫にすれば、比較優位の原則を保持することにより経済の悪化を避けられ、また男性の収入減が問題とされないということで、格差の拡大や少子化の進行による経済の悪化も避けられます。

この点、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担的発想に囚われた人たちは、女性を専業主婦にすることしか念頭にないようです。例えば小説家の曽野綾子氏は、13年8月31日の「週刊現代」に掲載された「『私の違和感』何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」という記事で、次のように述べています。


マタハラとかセクハラとか言うが、汚い表現だ。会社の世界に男も女もないのだから、産休をとったり、子供が熱を出したとかで仕事を抜けたりするような女子社員は決して男性と対等な立場で仕事することなどできない。産休なんていうのは会社にとって迷惑な制度。だったら子供を産んだら、産休を当然の権利だという甘えを捨てて会社を辞め、貧乏暮らしをしてでも、子供と一緒にいなさい。親と同居すれば、子供を預けて買い物にだって行ける。子供が大きくなったら再就職すればいい。そうした女性の甘えを廃しないと、女性はいつまでも責任のあるポストにもつけない。



また埼玉大学名誉教授でNHK経営委員である長谷川三千子氏は、14年1月6日の産経ニュースに掲載された「年頭にあたり『あたり前』を以て人口減を制す」という記事で、次のように述べています。


実はこうした「性別役割分担」は、哺乳動物の一員である人間にとって、きわめて自然なものなのです。妊娠、出産、育児は圧倒的に女性の方に負担がかかりますから、生活の糧をかせぐ仕事は男性が主役となるのが合理的です。ことに人間の女性は出産可能期間が限られていますから、その時期の女性を家庭外の仕事にかり出してしまうと、出生率は激減するのが当然です。そして、昭和47年のいわゆる「男女雇用機会均等法」以来、政府、行政は一貫してその方向へと「個人の生き方」に干渉してきたのです。政府も行政も今こそ、その誤りを反省して方向を転ずべきでしょう。それなしには日本は確実にほろぶのです。



また第29代航空幕僚長・田母神俊雄氏は、自身のブログ「田母神俊雄公式ブログ」の「女性の社会進出について」というエントリで、次のように述べています。


私は多くの女性が、仕事を求め働いているのではなく、家計を助けるために働いているのではないかと思っている。だから女性が働かなくても生活が出来る国を目指すべきだと思う。男女は結婚をして一つの家庭を築き、男が外に出て働き、女は子供を生んで家庭を守る、その伝統的な考え方に立ち返るべきではないのか。もちろん能力のある女性が働くことを否定するものではない。能力もあって働きたいという女性は働けばよい。しかし女性が働かなければならない国を目指すべきではないと思う。



が、これらはいずれも時代遅れの見解で、この先しばらく世界的男性不況が続くことを考えれば、専業主婦ではなく、専業主夫が世界的潮流であり、歴史的必然であり、未来予想図であり、21世紀のスタンダードなライフスタイルであることは間違いありません。

この点、自分のライフスタイルに直接関わることだからか、既に男性はこの時代の流れを敏感に察知していて、各種調査から男性の専業主夫志向が高まっていることが明らかになっています。例えば09年に結婚サービス会社・オーネットが行ったアンケートでは、60%以上の男性が専業主夫になってもいいと答えており、結婚記念日情報検索サイト・ぐるなびWeddingブライダルデーが13年に行った「今のご時世『専業主夫』はアリ!? ナシ!?」というアンケートでも、(専業主夫に)「なりたいと思う」と答えた男性は12・9%、「なってもいいと思う」と答えた男性は33・9%、「どちらでもいい」と答えた男性は16・1%で、計62・9%の男性が専業主夫に肯定的な回答をしています。

男性に家事・育児・介護が務まるのかという疑問もあるかもしれませんが、経済のサービス化が進んだ今、寧ろ、肉体労働の要素が少ない会社の仕事は女性向けであり、肉体労働そのものである家事・育児・介護は男性向けといえます。現に世の中には料理好きの男性も、子供好きの男性も、親思いの男性も沢山おり、また児童虐待の加害者の6割が実母であることを考えても、母性神話や三歳児神話がいかに科学的根拠に乏しく、性別役割分担的発想がいかに時代遅れの代物か分かるというものです。実際、 総務省統計局の「平成24年年版就業構造基本調査」によると、全国2854万8000世帯中、妻が有業で夫が無業、つまり専業主夫がいる世帯は128万4000世帯で、全体の4・5%を占め、しかも年々増加しており、北欧以外でもアメリカやイギリスや韓国で専業主夫は増加傾向にあるということです。

芥川賞作家の辻仁成さんが言うように、まさに「時代は絶対、中性」なのです。

(12)女性の「社会」進出に関する二つのイデオロギー① 専業主夫社会_b0355085_17393363.jpg
ということで、このビッグウェーブ、乗るしかないのですが、ここに専業主夫社会の実現を阻む「ガラスの天井」ならぬ「ガラスの地下室」が存在します。というのも、13年に厚生労働者が行った「若者の意識に関する調査」によると、「結婚した後は専業主婦になりたいと思いますか?」という質問に対して、「そう思う」と答えた15~39歳の女性は8・2%、「どちらかといえばそう思う」と答えた女性は26・0%で、3分の1強の女性が、自分が専業主婦になるのなら存在不可能な専業主夫に否定的で、前述の「ぐるなびWeddingブライダルデー」が同年行った「妻が大黒柱!? 働く妻に関するアンケート」でも、「夫が家庭に入り、自分が働いて生活したいと思いますか?」という質問に対して、「なりたくない」と答えた女性は43%、「どちらかと言うとなりたくない」と答えた女性は25・1%で、計68・1%の女性が専業主夫に否定的な回答をしているのです。つまり女性のほうが性別役割分担的発想に囚われているのです。

この点、女性の「社会」進出が進んでいるといわれている国や地域でも、まだまだ性別役割分担的発想に基づいた「フルタイムの男性+パートタイムの女性」という形態の夫婦が大勢を占めているのが現状です。「福井モデル」の福井県にしても、たしかに女性正社員率は全国平均よりも高いですが、女性管理職比率は全国平均の14%よりも低い11・73%で全国41位であり、男女間の賃金格差も全国平均の67・8%よりも大きい67・4%となっています。また日本よりも男女平等が進んでいるといわれる欧米諸国にしても、短時間労働者に占める女性比率(12年)は、アメリカ66・4%、イギリス73・8%、ドイツ78・7%、フランス77・4%、ノルウェー69・4%、スウェーデン62・0%、フィンランド61・7%、デンマーク60・9%、オーストラリア71・1%と日本の70・8%とあまり変わらず、女性が就いている職業も看護師、教師、保育士、事務職など日本と同じく教育・福祉の分野に偏っています。

ちなみに世界的ベストセラーとなったアラン&バーバラ・ピーズの「話を聞かない男、地図が読めない女」のP330~には次のような一節があります。


イギリスの民間保険会社BUPAと美容・健康雑誌『トップサンテ』が5000人の女性を対象に行ったアンケートでは……金銭的な問題さえなければ、専業主婦や無職でいたいという女性がほとんどで、仕事をすること自体に意味を見いだしていた人は二割に満たない。
オーストラリアでも、18~65歳の女性を対象に同じような調査が実施されている。人生で大事なことを順番に答えてもらうアンケートでは、仕事を第一に持ってきた人は5%だけで、母親であること、という答えが断然多かった。回答者の年齢層を31~39歳に狭めると、仕事を重視する人は2%に落ちる。18~30歳の年齢層でも、やはり母親になることが第1位で、仕事は18%にすぎなかった。



パートタイムで働く女性だけではありません。フルタイムで働く女性にしても、前述したように、極少数を除いて自分よりも収入の低い男性と結婚しようとせず、夫を専業主夫にすることも少なく、現状、良くて男性と同等、悪くてその補助的役割に留まっており、一家の大黒柱になる気はさらさらなく、性別役割分担的発想に囚われていることに変わりありません

(13)家庭は社会である


■ミャンマー人との結婚をお手伝いする会社■
国際文化交流One


読み終わったらクイックお願いします↓


にほんブログ村


にほんブログ




by bonoxylove | 2016-03-06 17:42 | 「女性」は輝き、国滅ぶ


<< (13)家庭は社会である      (11)女性の「社会」進出と出... >>